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2016.08.13

ハチとシャボテン 第三話


*『はじめての試み』


 

 

  「いつもだと、自分の作りたい

    ものありきで素材にかえってくるけど、

    今回はまったく逆から。素材があって、

    しかも掘った場所で違うから、

    一袋ずつ机の上に置いて、捏ねながら

    考える。これまでとぜんぜん違うんよ、

    そのこね触りというか、感触が。」

 

            IMG_2821

  「なるほど。」

 

84 「慣れてないというか。」

 

  「そう。あぁ~というか、

    これ以上もう触れないというものもあるし、

    ひっぱったらへたっちゃうというのもある。」

 

  「作品を作ろうとしたとき、

    いつもはじまりは、発想からだよね。

    だけど今回は、素材ありきでのスタート。

    その次に発想。そんな過程で出来上がるモノ

    って、実はなんかあんまり...無いよね。

 

    僕の植物も、あるものからスタートして

    いるもの。僕がこんな植物があったら

    ええなぁて言ったって、そんな植物なんて

    どこにもないから、やっぱり現場行って、

    あるものからスタートする。

    発想を形にするクリエイティブな

    感じではなくって、あるものに準じて、

    その方向性を手助けしてあげるというか。

 

             IMG_2819

    陶芸家さんって、僕から見たら

    ゼロからこねて形をつくっていくから

    すっごいクリエイティブだと思っている。

    でも今回はゼロからじゃないよね。」

 

  「そう。」

 

  「土があっての話だから、

    陶芸家の仕事ではあるんだけども

    自然の代弁者というか、、、僕もある意味

    において植物の代弁者のような感じだけど。

    その自然界のあるものをつかって、

    形をつくる。僕も植物の背景にある

    人に見えていない部分を見せてあげる。

    その、通訳...というか。」

 

84 「けっこう同じ立場にたっているような。」

 

  「仕事的には似ているんじゃないかなぁ。」

 

  「ほんとそうだね。似てるね。

    こんなに、感触とかを確かめながら

    土に聴きながら粘土を練る事も

    はじめてだし、ほんとにいっこずつ

    確かめながら、素材を見るというか、

    対話しながら一個一個つくっていった。」

 

第四話につづく)