
2016.08.14
ハチとシャボテン 第四話
*『自分的には合っている』
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叢 「僕は陶芸のことはようわからんけど、
器を作るとき、テクニックを使って、
上手に作り上げるじゃない。でも、
そこに中身が無いと、ただの
”上手にできた器” になってしまうよね。
今回、土を掘ってきてやりました、
というのは、ただ、変わった事をしたね、
とか、人とちがう事をしたとかじゃなく、
彼女(佐々木りつこ)の今の生き方に
マッチしているやり方だと思う。
りっちゃんが、自分で野菜を育てて、
食べてるっていうこと。もの買って、
それを作って食べるっていう生活
じゃないから。やっぱり長い年数かけて、
日数かけて作り上げていくという
生活をしているから。
それと同じ様に、山で掘って、それも
年数かかってできた土を捏ねて、
形にするっていうのは
すごくそれは佐々木りつこらしい
というか、彼女のスタイルに、
生活に合っているような気がする。」
り 「そう。3月に84さんから
声がかかったときも。
もしこの土に出合ってなかったら、
たぶんお断りしてたと思う。」
84 「(なんと!)」
り 「たぶんこれはいいなぁと思われる、
それっぽい物を作るっていうのでは、
やる意味がないなと思っていたから。
それ以外のことも、まず自分の生き方に
違和感があるっていうことは
もうやりたくないと感じていて。
そういうのを作るんだったら
陶芸をやる意味がないなぁと思っていて。
それだったら、畑とか田んぼの土とずっと
向き合ってる方が意味があるというか。」
84 「それが、原土に出合って。」
り 「そう。原土というものに出合って、
掘るのがもうなんか、楽しいというか。
今の自分にすごく合ってる。」
叢 「やっぱりこう、自分が生きている方向性
と同じ作業ってすごい楽しいし、
自分らしいし、無理が無いっていうか。
そういうことにまず出合えて、
これをきっかけに、佐々木りつこという
方向性に合うような器の作り方を、
もっと追求していくんじゃないかね。」
り 「そうなっていくと思います。」
(おわり)
8/20のお話会『ハチとシャボテン』もお楽しみに!